私事ですが、急性骨髄性白血病(M2)の治療で臍帯血(さいたいけつ)移植を受けて、今日で丸10年になりました。
いただいた元気な細胞と、信頼できる先生、家族のサポートのおかげで、今は普通通り毎日を過ごすことができています。
臍帯血移植は、主に血液疾患の患者さんの治療に用いられる、造血幹細胞移植の1つの方法です。
造血幹細胞移植は、抗がん剤治療だけでは治すことが難しい時、一度自分の造血幹細胞をほぼゼロにして、新しい細胞を定着させる治療です。
造血幹細胞自体は骨髄の中にあり、血球(赤血球・白血球・血小板)を作り出してくれます。
また、臍の緒や、胎盤にも存在します。出産後切り離された臍の緒や胎盤の、増殖能力に富む細胞を利用するのが臍帯血移植です。
新しい細胞は誰のものでもいいわけではなく、血液の白血球の型(HLA)が一致しないと移植することができません。
兄弟・姉妹間で合致する確率は四分の一で、非血縁者だと数百から数万分の一の確率です。
ドナーが家族にいない患者さんは多く、そんな人のために骨髄バンクや臍帯血バンクがあります。
私の場合は骨髄バンクのドナーを待つ時間がなく(HLAの型が合うドナーさんが見つかっても、いろんな調整が必要で半年ほどかかります)、冷凍保存されている臍帯血バンクなら合う型があれば、早く移植を受けられることがメリットでした。
10年前、移植方法を決める時見せていただいた資料には、臍帯血移植の生存率のデータは移植後3年分しか記されていませんでした。
臍帯血移植のほうが後発ということに加え、骨髄から取れる造血幹細胞と比べると、臍帯血の細胞は量が少ないため、その当時は子どもや女性など小柄な患者さんが対象で、大柄な方は移植を受けれなかったことも、症例が少なかった理由のひとつだったかもしれません。
生存率を確認しても、自分が移植後どちら側になるかは誰にもわかりません。
ただ、臍帯血移植後10年経っても元気に過ごせていると報告することで、自分も誰かの参考データの1つになればと思います。
血液疾患の治療方法は日々進歩しているので、患者さんが一人でも多く、普通の毎日に戻れるよう期待したいです。
※移植の種類は他にもありますし、それぞれにメリット・デメリットがあります。また移植自体リスクを伴いますので、1つの例としてお受け取りください。